猫がかゆがる・毛が抜ける…掻くだけではない、猫のかゆみのサイン
猫のかゆみは「掻く」だけの形で出るとはかぎりません
かゆみは猫でも我慢しにくい感覚ですが、飼い主さんの前で豪快に掻くとはかぎりません。猫の場合、「掻く」ではなく「舐めすぎる」という形で出ることがとても多いのです。
ひとりでいる時間に毛づくろいを繰り返すため、飼い主さんは「よく毛づくろいする子」としか思っていないことがあります。気づいたときには、おなかや内ももの毛が短く途切れていたり、左右対称に薄くなっていたりします。
チェックしたいポイント
- 特定の場所ばかり舐める・噛む(おなか、内もも、背中、しっぽの付け根)
- 毛が短く途切れている、地肌が透けて見える
- かさぶた、赤いブツブツ、ざらざらした手ざわり
- 耳をよくかく、耳のよごれが増えた、頭を振る
- 目やに・くしゃみが長くつづいている
- 傷や皮膚トラブルが治りにくい、同じ場所を繰り返す
背景としてよく挙がるのは、ノミなどの外部寄生虫、食べもの・環境への反応、皮膚糸状菌(カビの仲間)などです。ノミが1匹も見つからなくても、ノミへのアレルギーは起こりえますし、糸状菌は人にうつることもあるため、家族に皮膚症状が出たときは必ず獣医師さんに伝えてください。
知られていない事実:治りにくい皮膚トラブルは「体の中」からのサイン
長びく目やに・くしゃみ・皮膚のかゆみは、その場所だけの問題ではなく、免疫と慢性炎症のバランスが崩れているサインのことがあります。
そしてくすぶりつづける炎症は、時間をかけてほかの臓器の負担にもなりえます。体のどこかで小さな炎症が長くつづくと、SAAという炎症のたんぱく質が高いままになり、腎臓に「アミロイド」として少しずつ沈着してしまうことがあります。一度沈着したものは元に戻せません。「しつこいな」と感じたときが、相談どきです。
人間用の塗り薬やアルコール消毒を自己判断で使うのは避けてください。猫は舐めてしまうため、成分によっては中毒を起こします。原因が特定できていない段階での市販薬の使用も、あとの診断を難しくします。
受診を考える目安
かゆがるようすが2週間以上つづいている/脱毛やかさぶたがある/出血している/耳のよごれやにおいが強い/家族にも皮膚症状が出た。このいずれかにあてはまるときは相談してください。皮膚は原因の特定に時間がかかることがあるので、早く動くほど猫のつらい時間が短くなります。
受診のときは「いつから」「どこを」「どんなときに」気にしているかをメモし、可能なら気にしている様子の動画を撮っておくと、診察が進めやすくなります。
皮膚のほかにも、気になるサインがないか整理したいときは、無料のチェックツール「CSSC(Cat's Silent Sign Checker)」をどうぞ。関節・口腔・消化器・皮膚・腎臓の5系統をタップで整理でき、結果はそのまま獣医師さんに見せるメモにできます。
無料でチェックしてみる- Diagnosis and Treatment of Pruritus in Cats (Algorithm). Today's Veterinary Practice. 2025.(猫のかゆみは主に4つのパターンで現れる。飼い主がかゆみに気づいていないことも多く、心因性の脱毛は過剰に診断されやすい)
- Feline non-flea induced hypersensitivity dermatitis. J Feline Med Surg (Clinical Practice). 2013.(舐めすぎによる脱毛は脇腹・おなか・背中に左右対称に出やすく、毛先が途中で切れているのが手がかり)
- Flea Allergy Dermatitis in Dogs and Cats. MSD Veterinary Manual.(ノミアレルギー性皮膚炎は猫の粟粒性皮膚炎・頭頸部のかゆみ・自己誘発性脱毛の主要な原因のひとつ)
- AA-amyloidosis in cats (Felis catus) housed in shelters. PLOS ONE. 2023;18(3):e0281822.(慢性炎症で血中SAAが高い状態が続くと、腎臓などにアミロイドが沈着する。シェルター飼育の短毛猫で52〜73%という高い保有率が報告されている)