ねこサイン
猫のサイレントサインに気づくメディア
2026.07.28 公開

猫が吐く回数が多い…「毛玉だから」で片づける前に確かめたいこと

「猫はよく吐く動物」は、半分だけ本当です

猫が毛玉を吐くこと自体は自然な行為で、たまにあるぶんには心配いりません。ただ、「猫だからよく吐く」という思い込みが、受診のタイミングを遅らせてしまうことがあります。

健康な猫が何度も吐くことは、実は当たり前ではありません。ひとつの目安として、草を吐いた場合を除き、月に2回以上の嘔吐が続いているなら、毛玉以外の理由を考えて検査を検討したほうがよい、という考え方が広まっています。

吐いたものを見ると、伝えられる情報が増えます

片づける前に、写真を1枚撮っておくと受診時にとても役立ちます。

未消化のフードを食べてすぐ
早食いや食道の問題のことがあります。食器の高さや一回量の見直しで改善する場合も。
黄色い液体が混じる
胆汁です。空腹時間が長いときに起こりやすい一方、慢性的なら消化器の炎症が背景にあることも。
白い泡状
胃液です。繰り返すようなら胃腸の状態を確認したほうがよいサインです。
血が混じる・黒っぽい
消化管からの出血の可能性があります。早めに受診してください。
吐こうとするのに何も出ない
繰り返す場合は緊急性があります。異物や閉塞の可能性があるため、すぐ動物病院へ。

一緒に見てほしいサイン

猫の慢性的な嘔吐の背景として知られているのは、慢性の腸の炎症、膵炎、甲状腺機能亢進症、異物、食物への反応などです。とくに猫の膵炎ははっきりした症状が出にくく、「なんとなく食欲がない」「静かにしている」だけのこともあります。

知られていない事実:「毛玉だからよく吐く」は思い込みかもしれません

慢性的に吐く猫100頭を詳しく調べた研究では、そのうち約半数に腸の慢性的な炎症が、約46%に腸のリンパ腫が見つかり、組織に異常がなかったのはわずか1頭だけでした。「毛玉だから」で片づけられてきた嘔吐の多くに、実は原因があったということです。長毛種で毛玉が多い子ほど「いつものこと」と見過ごされやすく、気づくのが遅れがちです。

そして消化器の慢性的な炎症も、ほかの臓器と無関係ではありません。体のどこかで小さな炎症が長くつづくと、SAAという炎症のたんぱく質が高いままになり、腎臓に「アミロイド」として少しずつ沈着してしまうことがあります。一度沈着したものは元に戻せません。

記録が、いちばんの武器になります

「月に何回、どのタイミングで、何を吐いたか」をカレンダーにメモするだけで、診察の精度がぐっと上がります。頻度は飼い主さんにしか分からない情報です。

受診を考える目安

早めに動物病院へ

月2回以上の嘔吐が続いている/体重が減ってきた/下痢もつづいている/吐いたものに血が混じる。このいずれかにあてはまるときは相談してください。何度も吐こうとするのに何も出ない、水も飲めない、ぐったりしているといった場合は、すぐの受診が必要です。

ブリー
2分でできる「サイレントサイン」チェック

吐くこと以外にも、気になるサインがないか整理したいときは、無料のチェックツール「CSSC(Cat's Silent Sign Checker)」をどうぞ。関節・口腔・消化器・皮膚・腎臓の5系統をタップで整理でき、結果はそのまま獣医師さんに見せるメモにできます。

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参考にした情報
記載の目安や数値は、以下の学術文献・診療ガイドラインを参照しています。本記事は獣医師による監修を受けたものではなく、診断の代わりにはなりません。
  1. Norsworthy GD, Estep JS, Kiupel M, Olson JC, Gassler LN. Diagnosis of chronic small bowel disease in cats: 100 cases (2008-2012). J Am Vet Med Assoc. 2013;243(10):1455-1461.(慢性的に吐く猫100頭のうち、腸の炎症49頭・腸のリンパ腫46頭。組織が正常だったのは1頭のみ)
  2. Chronic vomiting in cats: Pictorial pointers for diagnosis. dvm360.(草を吐く場合を除き、月2回以上の嘔吐を精査の目安とする考え方)
  3. AA-amyloidosis in cats (Felis catus) housed in shelters. PLOS ONE. 2023;18(3):e0281822.(慢性炎症で血中SAAが高い状態が続くと、腎臓などにアミロイドが沈着する。シェルター飼育の短毛猫で52〜73%という高い保有率が報告されている)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、獣医師による診断の代わりになるものではありません。記載の内容はあくまで一般的な目安であり、愛猫の体調に不安があるときは動物病院にご相談ください。